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長かった黒髪は、短くし。
大地の色を宿していた瞳は深い漆黒へと色を変え。
今回、マスターナイトへと昇格したセシレイア・リシャンテは真っ直ぐに前を見つめていた。
かつて、竜の眠る土地と呼ばれたベルンは、
大地の色を宿していた瞳は深い漆黒へと色を変え。
今回、マスターナイトへと昇格したセシレイア・リシャンテは真っ直ぐに前を見つめていた。
かつて、竜の眠る土地と呼ばれたベルンは、
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― あの日、焔が全てを焼いた。
住んでいた村は、田舎というにふさわしいところだった。
見渡す限り、山山山。隣町までは約二時間。
そんなところに住んでいた私達は、村からしてみたら厄介者だった。
両親の顔は知らない。物心つく頃にはもういなかった。
妹と弟、三人で肩をよせあい、貧しいながらも生きてきた。
だけど…。
「…ゼフィ…。ゼフィール!ギネヴィア!!」
隣町へ、必要なものを買いに行っていた時間の間に。村は炎に包まれていた。
見渡す限りの赤に煽られ、それでもたった二人の家族の安否を知るために炎の中に突っ込もうとした時だった。
急に、強い力で腕を引っ張られた。
「死ぬ気か!?」
腕を掴んだのは男だった。背の高い、肩には剣を背負った青年。
炎に照らされ、全身が赤く染まったその男は、しかし瞳だけは、怒りに燃えた青色だ。
「離せ!中にまだ…」「中に入るのは自殺行為だ!わかってるのか!?」
もがく身体を押さえつけ、彼は負けじと叫ぶ。
「放っておけ!!」
その一言に。
「っ!馬鹿野郎!!」
大きな声で罵倒された。
何かを言い返そうとしたが、それは勢いを増した炎によって阻まれる。
「っ!?」
炎が全身を焼いていく。
咄嗟に、腕を掴んでいた青年が私を庇い、右肩を炎に嘗められた。
「くそっ…!」
青年の悪態が耳を打つ。次いで、彼は後ろを振り向くと怒鳴り声を上げた。
「マーニャ!何をしている!?」
その瞬間だった。
天から、雨が降り注いできた。
否、雨ではなくそれは龍が降らす魔法の水。
瞬く間に水は炎を消し、私は呆然と後ろを見た。
いろいろな事があってその後はよく覚えていない。だか、あの輝きだけは覚えている。
そう、あの翠の輝きだけ…。
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